友人に終わりを告げた日②

  1. こんにちは。サナです。
    大人の人間関係って難しいなと感じた出来事があって、「友人に終わりを告げた日」という記事を書きました。
    今回はその続きです。

▶︎①はこちら「友人に終わりを告げた日①

改めて書くと、自分にも未熟なところがたくさんあったな・・・と思います。
でも当時は本当にいっぱいいっぱいだったんですよね。

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その日は、春だった。

4月からの人事異動で人数が減った上に、新人の教育係になってしまった私は、通常の勤務時間は新人の質問に答えて一緒に仕事を進めるのに精一杯で、残業で自分の仕事を片付けていく日々を過ごしていた。
その日も、そこそこ夜遅くまで仕事を捌いていると、デスクの端に置かれたスマホが光って、LINEの新着メッセージを告げるポップが目の端に映る。

彼女だ。

その頃の私は、表示された彼女のアイコンに、億劫な気持ちが湧いてしまうようになっていた。
長押しして、既読をつけずに文面だけ見ると、画面は彼女の吹き出しで埋まっていた。

「私ってなんでナメられるし軽んじられるんだろう?」
「傷ついてボロボロ。今すごく辛いです。年をとりたくない」
「私の人生、良いことないしくだらないし、死にたいでーーす!」

そういった趣旨の吹き出しが3つ4つ連なっている。
感情に任せて送られてきた文章に、鉛のように気持ちが沈んでいく。
更に、そう反応してしまう自分に気づいて、また一段、鉛は重くなる。
彼女の悩みを聞き、落ち着くのを待ち、明日に向かって背中を押すのが、もはや私にとっては「タスク」に感じられた。

私は、ひとつひとつの返事に、時間をかけてしまう。
相手が友達なら、そして真剣に悩んでいるなら尚更だ。
悩みが少しでも軽くなるように、自分なりに考えて、言葉を選んで、下書きして推敲して——ようやく返す。
チャットやLINEでのコミュニケーションには、向かないのかも知れないけど。

その手間をかけた返事に対して、すぐさま感情のままに書き連ねたラインが戻ってくるのも、正直苦しかった。

私は、あなたの感情のゴミ箱ではない。

そういう気持ちを抱いてしまった。

もちろん、彼女だって苦しかったんだろうし、気持ちを吐き出したい夜があるのも知っている。
私も彼女くらいの歳の時に、同じように友人に救ってもらったこともある。
友人として、人生の先輩として、支えてあげたい気持ちもあるが、それでも、どうしても、もう限界だった。

ずっと未読の赤丸がついているのも嫌で、とりあえず既読をつけて、残りの仕事に向かう。
今返答する気力はない。
私は私のメンタルを保って生活を回していくのに精一杯で、「彼女に向き合う」というタスクの優先順位を下げてしまったのだ。
だって私には、明日締め切りの仕事が、まだいくつもある。

疲れ果てて家について、お風呂に入っても、まだ返信する気力は湧いてこなかった。
1度返しても、また長文のラインなり電話が返ってくるのは目に見えていた。

布団に潜って目を閉じる。
これ以上、消耗したくなかった。

自分を守るためなら仕方ない?
それとも、向き合うことから逃げただけ?

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前の話はこちら
▶︎「友人に終わりを告げた日①

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▶︎「友人に終わりを告げた日③