センター試験の日がやってきた。
この日のことは、あまり覚えていない。
雪を心配した母が、早めに車で会場まで送ってくれた気がする。
あの日は確か、予報が外れて何とか晴れた。それでも冷え込む日だった気がする。
会場は県内の私立大学だった。
知らない大学の、知らない廊下を、受験番号を頼りに歩く。
割り当てられた教室のドアを開けると、知らない顔がちらほらあった。
一緒に申し込みをしたはずなのに、同じ高校から受ける人は同じ教室にはならないのか。
そんな中に見知った顔を見つけた。
「るーちゃん!一緒の教室なんだ!」
何たる偶然か。一緒に勉強を続けてきたるーちゃんが同じ教室だったのだ。
人生がかかる試験が、始まった。
試験官の声が響く教室で、鉛筆の音だけが聞こえて、張り詰めた空気があって。
その中で1教科ずつ、確実に終わっていく。
東大を目指した半年が。
休み時間ごとに「できた気がする」とるーちゃんと興奮気味に話した。
今の時代なら「迷惑な受験生がいた」とネットに晒されたかもしれない。
2日目は天気が悪かった。
同じように、粛々と試験は終わっていった。
迎えにきた親の車に乗って、ホワイトアウトする窓と、時折覗く晴れ間に道に積もった雪を眺める。
手応えは・・・あった。
センター試験翌日、庭の木も地面も、真っ白の雪が覆っていた。
朝一番に、地元地方紙の朝刊を開く。ここにはセンター試験の結果が掲載されていた。
リビングで自己採点をしたくなかったから、いそいそと新聞を自分の部屋に持ち込んだ。
畳に朝刊を置いて、ヒーターの前で這いつくばりながら自己採点をする。
合ってる。合ってる。合ってる。
1教科ごとに、胸が高鳴るのが分かった。
すごい結果になってしまう。
新聞の隅で、9科目を足し上げた点数を3回くらい検算した。
結果は、これまでのセンター模試の遥かに上、自己ベストを大幅に更新した点数だった。
満点の教科もいくつかあった。
歌いながら階段を駆け降りて、「めっちゃできた」と親に報告した。
「あら、良かったじゃない」
相変わらず、親の反応は薄かった。
自己採点は高校で集約され、即日、校内の点数分布図が配られた。
藁半紙のざらざらとした手触りを感じながら、自分の点数を探す。
1番上のブロックに1人、こんなにとれた人いたんだ。すごいな。
次のブロックに1人、もう少しでここだったんだけど・・・。
その下に3人。ここだ。
自分の場所に、赤で丸をつける。
「やった」
口に当てた拳に息を吹き込みながら、小さく呟いた。
――――――――――いけるか
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センター試験の回を書くにあたって、あの日のことを思い出そうとしたんですけど
当日のことって本当に覚えてないんですよね。
それだけ試験に集中していたからなんでしょうか。
ただ、自己採点をした時のドキドキと高揚感はよく覚えています。
びっくりして合計点を何回も足し直しました。
あの頃の数学力的には、絶対に間違わない簡単な足し算なんですけどね笑。

